機関リポジトリとは

大学など研究機関の研究および教育の成果を電子形態で一元的に収集・蓄積・保存し、インターネットを通して世界に向けて原則的に無償で発信・公開するために設置されたインターネット上の保存書庫、それが『機関リポジトリ(Institutional Repository)』です。大学やその構成員により作成されたデジタル資料を、大学が管理し発信するための一連のサービスという側面もあります。

1990年代以降の学術雑誌界の危機的状況(一部の出版社による市場の寡占化や価格高騰、読者の減少がさらに価格を高騰させてしまうという悪循環)が背景となり、「読みたい論文が読めない、読んでもらえない」という課題に直面しました。そこで注目されたのが、『機関リポジトリ』であり、なかでも世界規模で広がったのが、『オープンアクセス運動』です。

オープンアクセス運動』とは、論文をはじめとした学術情報をインターネット経由により、制限なくダウンロードでき、また、合法的に利用できる人類の共通資産としようとする運動のこと。この運動により、研究者自身によるWEB上でのセルフアーカイビング(Green OA)や、オープンアクセス誌による論文の電子ジャーナル化(Gold OA)が急激に進展しました。

現在では、全世界で2,845機関が機関リポジトリを公開しています。日本国内でも、『学術研究成果への自由なアクセスは、学術研究推進の不可欠の要素であると共に、今後の科学や社会の発展の基盤である(文部科学省によるオープンアクセスに関する声明)』という考え方が幅広く浸透し、2015年4月時点で535機関が機関リポジトリを公開しています(国立情報学研究所「学術機関リポジトリ構築連携支援事業」報告)。
 

大学による機関リポジトリ設置の意義

▶研究者にとって
・学術研究成果を効果的に発信できる
・学術研究成果の可視性がアップする
・被引用率の向上を図ることができる
・読者層の拡大が期待できる
・デジタル保存のため長期的な管理が可能となる

▶大学にとって
・大学の学術研究成果を社会に還元できる
・大学で生み出された知的生産物の長期が保存できる
・大学の持つブランド力の向上が期待できる
・国際的な発信力を強化することにつながる

▶学生にとって
・教員の著作が簡単に読むことができる
・授業の選択や、予習復習に便利なツールとなる

▶受験関係者にとって
・希望大学の教育研究活動の一部が見える
・英文論文なら海外からもアクセスできる

▶一般の人にとって
・専門的な学術研究論文が簡単に読むことができる